しもしゃが走る!

終章  しもしゃ、Forever!!


 月日は流れ・・・。
 霜片も2年の大学院生活を終え、故郷長野に戻り就職していた。
 幸村はそれより先に既に社会人となっていた。
 互いに進んだ道が違うので、当然住む場所も異なる。
 しかしそれでもなお、彼らの心には『しもしゃ』の魂が生き続けているのである。

 霜片の勤める職場に、サークルの後輩が配属となった。
 小清水ひかる(こしみず・ひかる)というその後輩は、『しもしゃ』に憧れ四駆のヴィッツを買った。
 所有してからかなりの歳月が経つのに、未だにテクニックは上達していない。
 特に車庫入れはかなり怖いという、もっぱらの評判である。
 そこで、空いた時間を利用して、霜片に仕事と運転とを教わっている。
「シモヒラさ〜ん、どうやったら四駆でドリフトできるんですかぁ〜?」

 かつて名を馳せた『群青の流星』にも、月日は流れる。
 レガシィは既に廃車となり、現在霜片の愛機はボルボのV40である。
 したがって、かつてのように走り回れるクルマではない。
 しかし、魂はまだ冷めていなかった。
 だからこそ、後輩はついてくるのである。

 そして伝説へ・・・。
 その伝説は人々の間で語り継がれ、話の中で生きているのである。
 そうしてまた新たに、伝説となるドライバーが生まれるのである。

「シモヒラさ〜ん、どうやったらシモヒラさんみたいに『群青の流星』になれるんですかぁ〜?」
 霜片は頭を抱えた。
「小清水さん、その前に基本的なことができるようになろうよ〜(泣)」

 またいつか、霜片がレガシィに乗る日が、来るかもしれない・・・。


〜fin〜

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